萬福寺は、天台宗の名刹。彦火火出見命の故事に由来する、犬熊(本庄)にある寺です。
ここは、熊が襲ってくるのを知らせて吠えた犬を、怒って殺してしまった彦火火出見命が、
犬と熊を弔った場所だと言われています。
 延暦22(803)年、唐へ渡る途中、最澄法師が国富荘(今の国富町)で一夜の宿を借りた際に、
この故事を聞いて心を打たれ仏像安置を発願され、萬福寺は、その時に彫られた一刀三礼
の三尊仏をいただいてできたのだそうです。
 本尊阿弥陀如来像は、鎌倉時代の初期に火災で消失し、現在の像は寛喜4年(1232)に
澄円、聖賢両大徳によって彫刻されたもの。両脇の脇侍像は伝教大師(最澄)の作とされ、
指先の曲線や豊かな姿は鎌倉時代の作風を持つ名作として三体ともに国の重要文化財に
指定されています。 


萬福寺の正門


  見どころのひとつ、枯山水の庭園(楽山園)は、中央に数百年を生きた紅梅の銘木を配し、吉野の石、
 京都の白川砂、北山杉などを取り寄せて作られた桃山式の庭園です。