Kabuki dolls
くにとみ
歌舞伎見立

見立

■本庄六日町の造人形(「国富町郷土史」より)
 佐土原人形と並ぶ古い伝統を持つ人形である。しかし佐土原人形が京都伏見人形の流れをくむといわれるのに対して、本庄人形は江戸末期に本庄が県下有数の商業地であったころ、和泉屋、枡(ます)屋など当時の豪商たちが、人形衣装を大阪あたりから購入して、一ヶ月以上もかけて等身大の歌舞伎見立人形を造り、舞台をこしらえて稲荷神社夏祭の余興としたものであった。
 この雅趣に富むならわしは昭和の初期ごろまで継承されたが、多大の経費と時間を要することであり、また戦争の激化や技術伝承者が次第に減じた関係もあって、永年にわたりただ旧家に昔使用された、人形の頭部や手足などの心になる部分が保存されているに過ぎぬ有様であった。
 しかしこの伝統芸能の復興を希望する声は次第に高まり、これに応えて昭和50年人形用品とともに、伝統ある俵踊りの衣装や用具類保管のための収蔵庫が新設された。また人形も50年の稲荷神社夏祭を契機として、六日町有志の熱意と努力によって復活された。


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