大斗滝の民話
三人の姉妹
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昔々、のどかで平和な田代村であったころ、御田祭(おんださん)にそれは美しい三人の姉妹が通ってくるようになりました。
だれよりも朝はやく、まだ薄暗いうちから苗引きに入っており、夕暮れおそくまで加勢していつのまにか帰ってしまうので、どこの人なのかだれも知れません。
「どこの人ね」とたずねても、ただニッコリと笑うだけでした。
不思議なことに、三人の姉妹が御田祭に来るようになって日和りまわりが良くなりました。
ある年一人の若者が、祭りの田植えを終えて帰る姉妹をひそかにつけて行ったところ、おせりの滝の上の方にある主淵(ぬしぶち)にスッーと入り、振り返ってしばらく若者を悲しげに見つめていましたが、やがて中に沈んで行きました。それっきり御田祭に姿を見せんようになりました。 |
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